にじたまのストーリー|癒しは、つくる手の中にある
羊毛フェルトとの出会いは、子どもにフェルトのおままごとを作ってあげようと思ったことがきっかけでした。
ネットで型紙をダウンロードして、ちくちく手づくりするうちに――
「羊毛フェルト」という言葉に出会ったのです。
フェルトって布だけじゃないんだ!
そんな小さな驚きとワクワクが、私の新しい世界の扉を開いてくれました。
さっそくヤフーオークションで羊毛とニードルのセットを購入。
よくわからないままチクチクしていると、ふわふわの羊毛がかたくまとまり、ボール状になる…!
その変化に、私はすっかり魅了されました。
当時はまだ羊毛フェルトが今ほど知られていない頃。
図書館で探しても情報は少なく、ほとんどが「水フェルト」ばかり。
私にはそれがあまり合わず、結局ネットで調べながら、独学でニードルフェルトを学んでいくことになりました。
作ることが、私の“居場所”だった
その頃、小さな子どもを育てながら専業主婦として過ごしていました。
でも、社会から取り残されているような感覚にモヤモヤしていた私は、
「自宅でできる仕事はないかな?」と模索していたんです。
そんなとき、ハンドメイド作品をヤフオクで販売している人たちを見つけました。
私も…と、まだ簡単なものしか作れなかったけれど、思い切って出品。
今思えば大胆ですが(笑)、そのときの小さな一歩が、私の“ものづくりの道”の始まりでした。
その後、羊毛フェルトが人気の手芸として広まり、たくさんの本が出版されるように。
私もいくつかの書籍に作品を掲載していただき、百貨店イベントへの出展、Creemaなどでの販売…
なかでもウェルカムドールは、たくさんの幸せを私にも届けてくれました。
“かわいい”は、頭の中から手のひらへ
「どうやって作品を思いつくんですか?」と聞かれることがあります。
私は特別な資格もなければ、デザインやアートの勉強もしていません。
ただ、いろんなものを見て、感じて、考えて――
頭の中にふわっと浮かんだ“かわいい”を、自分なりのやり方で形にしています。
作家として、講師として
作家活動の中で一番大変だったのは、百貨店でのポップアップショップ。
作品づくりに加え、準備や出店で身体はガチガチに。
それでも周囲の支えのおかげで乗り切ることができました。
…が、正直もうあんなにハードな出店はしないと思います(笑)
生活の変化で、フルタイムのパートに出た時期もありました。
時間にも心にも余裕がなく、作品制作はほとんどできず――
「せっかくここまでやってきたのに」と悔しい気持ちにもなりましたが、
その中でも唯一、細く長く続けられたのが“講師”の仕事でした。
教えることは、自分を癒すことだった
人に教えるようになったのは2011年の秋。
初めてのレッスンは試行錯誤の連続で、伝えることの難しさを実感しました。
でも、回を重ねるうちに、「どこでつまずくのか」「どうすれば伝わるのか」を考えることが、
だんだんと楽しくなってきたのです。
失敗して、学んで、工夫して。
その積み重ねが、今のレッスンやYouTube動画の土台になっています。
最近も「ひとり時間、羊毛フェルトが熱中できる趣味になりました」という言葉をいただき、
心がじんわりあたたかくなりました。
これからも、“癒し”をつくる手の中に
「かわいいものを作りたいけど、うまくできない…」
そんな初心者さんの気持ちに、私はずっと寄り添っていきたいと思っています。
少しずつ形になっていく羊毛フェルトの魅力を、
やさしく、ていねいに届けていけるように――
これからも「癒しは、つくる手の中にある」という想いを胸に、
あなたの“つくる時間”にそっと寄り添える存在でありたいと思っています。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。